すごい日本奥地紀行【南信州編】 第4回 遠山郷(霜月祭、和田宿、旧木沢小学校)
【第4回】
大阪→→(岐阜県)瑞浪→馬籠宿→(長野県)妻籠宿→木曽福島→上松(1泊目)
→ 大平峠・大平宿→赤石峠→遠山郷→小嵐稲荷神社→下栗の里→しらびそ峠→大鹿村
→分杭峠(2泊目)
→ 諏訪大社→奈良井宿→御嶽神社→開田高原→(岐阜県)御嶽スカイライン→
喫茶・五重塔→下呂温泉(3泊目)→ 関善光寺→岐阜大仏→長良川沿いに続く道→→大阪
いよいよ今回の旅のハイライト1。
信州の秘境、遠山郷(とおやまごう)に入った。
細く危険な山道を越えて、やってきたのは、伊那山地と南アルプスの間の深い谷。
冬になると、ほとんどの道路が通行止めになって、外部との行き来がしにくくなる、そんな土地だ。
詳しくみていこう。
★どんな過疎地にも中心街がある
遠山郷の入り口は、上村(かみむら)という村からだった。
人口は700人しかいない過疎地。
しかし、どんな山奥にも、どんな秘境にも、
人が集まって住み、小さな商店街があり、必要な店があって営業している、暮らしの姿があるのだ。
上村の中心地は、民家が軒を連ねる通りがあり、旅館や商店が数軒あった。
お盆の里帰りの時期か、他県ナンバーの車が寺の駐車場に並び、お墓参りに行く家族の姿がみられた。
それ以外の時期はどうなっているだろう…。
★霜月祭り
上町正八幡宮、という神社が上村の集落内にあったので、参拝した。
社殿を見学した。
中央にかまどがあり、その天井から御幣のようなものが吊るされている。
平時はこのように静まり返っているが、
霜月祭りになると、社内はにぎわい、様子は一変する。
天狗の面をかぶった人が、煮えたぎる湯に手をつけて、湯を人々にぶっかけるというものなのだ。
旧暦の霜月(11月)の頃は、最も太陽の
光が弱って、生命力が弱まる。
そこで、日本中の神々を招き、お湯を捧げ、自分も湯を浴びることにより、生命力の再生を願うという祭りだそう。
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なお、祭りの様子は、こんな感じです。
天狗の面、お湯を釜からすくいあげ、浴びせまくってます。
秘境…の割にはよく整備された道路を飛ばし、南へ進み、次の目的地へ。
写真は、道路脇にあった、小さな社。
どんな神がまつられ、なぜこの畑の脇にあるのだろう。
★和田宿と遠山ジンギス
遠山郷の南端、和田宿にやってきた。
ここが、遠山郷で最もにぎわった場所で、中心地だ。
静岡県の秋葉神社に行くための「秋葉街道」に、この町はある。
この先は険しい峠が続き、その手前で一泊しようとする人がとどまった。
現在は人口2000人弱だが、昭和30年代には、6000人も住んでいたとか。
食堂、商店、工場、水商売、劇場など、山奥の町は何もかも揃っていて、
外から物を調達しなくても、和田の町だけで生活が成り立っていたという。
ジビエ料理(鶏豚牛以外の動物肉)の専門店「星野屋」もあった。
さすが、山奥ならでは。
熊、鹿、猪などの山肉を、鍋やコース料理にして食べられるのだ。
「道の駅遠山郷」で昼食をとった。
道の駅の冷凍食品コーナーで、「猪ジン」や「鹿ジン」という商品が、パックにして売られているのだ。
他にも、角材状にして束ねた寒天が、袋に入って売られていたりした。
寒天といえば、南信州の名物。
道の駅で、ここにしかないものを見ると、嬉しくなる。
せっかく遠山郷に来たのだから、「遠山ジンギス」は食べておこう、と思って、
道の駅のレストラン*1で、ジンギス定食を食べた。
タレに漬け込んだ羊肉で、ご飯が進みまくる。
羊肉なのに臭みは少ない。
ご飯とみそ汁のお替わり自由だったので、ご飯2杯半をペロリと平らげてしまった。
ちなみに、別メニューで「熊焼き定食」というのがあった。
気になりすぎる。
★旧木沢小学校は、すばらしい学校博物館?
寄り道をしてみた。
今は廃校になってしまった「旧木沢小学校」だ。
コンパクトで美しい木造校舎。
今では、無料見学してもらえるように開放されていて、地元の人がボランティアで運営しているそうだ。
なお、校庭には、盆踊りのやぐらが立っていた。
地元の人の生活の一部として、今なお生き続けているのだろう。
見学させてもらった。
この学校は、「猫の校長・たかねさん」というのが名物で、
ネコ雑誌に何度か採りあげられることで知られている。
モノはとても多いが、学校の思い出というものがたくさんあるんだな、と見せてくれるようだ。
来る人も多いのだろう。落書きもすごい。
黒板にチョークって、味があっていいよね。
職員室。机の上の散らかり方が、妙にリアルで懐かしい。
音楽室か。小さな机・いすに、ランドセルが掛けられている演出に、ハッとさせられる。
昔あったなぁ、足ペダルで踏んで空気を供給するオルガン。*2
黒板には、「松下先生 ありがとう」と書いてあるが、
これは以前、引っ越しのサカイのCMに、この学校がロケとして使われていたのを、そのまま残しているという。
音楽室には、ずっとこの映像が、リピートされていた。
体育館。何かの研修が最近あったらしい。
バスケットコートの跡らしいラインが、懐かしい。
教室。全て木製で、サイズの違う机が並び、中にはランドセルが掛けてあったり、教科書が入りっ放しの机もあった。
黒板前には、懐かしのダルマストーブも。
このまま、何かのロケに使えそうだ。
空き教室には、郷土展示コーナーがあった。
霜月祭りのこと、遠山森林鉄道*3のこと、地元出身の画家のコーナーや、山の暮らし、南アルプスの山等をテーマに、展示物を手作りで作って、展示コーナーを作っていた。
地域のことがわかるミニ博物館として、寄ってみるにはいいところだ。
いや、ミニ博物館どころか、「学校博物館」として、よくできていると僕は思っている。
ここは穴場だった。
今日の旅はここまで。
次回は、山の高いところまで登っていきます。お楽しみに!