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漂流、いいじゃないか!

周りのことばかり気にしてきた人が、「周囲のことを気にしないで、やりたいことをやる」をモットーに書いてます。趣味、旅行、哲学などの話を書いています。

あらゆる店が消えたとき、最後に残る店は…~秘境・椎葉村のよろず屋から~

勝手に旅にする 閉塞感・違和感を考える

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日本から商店街が次々消えている。ショッピングモールでさえも経営が立ち行かなくなり、廃墟化するモールも現れた。店はなくなり、通販でモノが買える時代になった。

 

実際の店がどんどん姿を消していっている現状から、さらに何十年か先はどうなっているのだろう。

あらゆる店が消え、最後に残る店は何だろう…?

 

そのヒントと思われるものを、宮崎県の秘境「椎葉村(しいばそん)」で見つけました。

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★まずは椎葉村の立ち位置から

椎葉村は、九州のほぼ中心にあります。

九州山地の山あいにあるので、1000~1700m級の山々に囲まれ、チェーン店やショッピングセンターで買い物をしようと思えば、70キロもの道路を走って、日向市まで出ないといけません。

山に囲まれ、人里から遠かったので、長らく人がたどり着くのが困難とされてきました。

平安時代末期に、壇ノ浦の合戦で滅びた平家の残党が、源氏による残党狩りを逃れて、隠れて住み続けることができたといわれるくらいでしたので、よっぽど人がやってこなかったことを物語っています。

そのためか、「日本三大秘境」の一つに数えられています。*1

 

さらに、人が住める面積がわずか4%しかなく、川の流域や山の中腹や斜面に集落が点在しています。

そのため人口が少なく、約2700人。なおも減少を続けています。

目だった産業も起こりにくく、仕事を求めて若い人は外に出て行く。一番大きな企業は村役場、という地方によくある構図となっています。

 

中心部の商店街を見てみると、ある店は旅館、たばこ屋、衣料店、酒・米屋、床屋、薬屋、雑貨屋、食堂、銀行、農協…

必要最小限の店が細々と残っている感じです。これ以上減りようがないくらい。

 

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★最強のよろず屋「中園本店」

そんな中で異彩を放っていたのが、「中園本店」というよろず屋でした。

よろず屋は、多彩な商品を扱っている店のこと。なんでも屋ともいえます。

 

中に入ると、こぎれいなコンビニといったような感じでした。
お菓子やカップ麺、ペットボトル飲料、惣菜など、品揃えはコンビニそのもの。

 

お店の一番のウリは、天然酵母パン

毎日売り切れが続出し、予約しないと買えないくらいのものだそうです。

 

他にも、何気にタバコの品揃えが良かったり、

ワインセラーまであり、1年に1本売れるかどうかわからないようなワインまで、お店の一角に並んでいたりと、こだわりは半端じゃないです。*2

 

さらに、レンタルビデオのコーナーまで!

有名どころから最新作まで次々レンタルされ、ご丁寧に告知用のポップまで付いています。

本・雑誌のコーナーも充実しており、コンビニよりも品揃えが多く、

秘境ながら地方都市と引けを取らないくらい、情報を集めやすくなっているようでした。

 

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また、お店のつくりは女性が好みそうなカフェのような内装で、アジア雑貨屋にありそうな、猫が釣り糸を垂れているような置物が置いてあったりと、遊びのある空間でした。

オシャレなカフェのようなイートインコーナーまでありました。

 

他にも、店の前で地元バンドがコンサートを行ったりと、イベントや文化を発信しているようでした。

 

 

なんでも扱っている店「よろず屋」。

それが現代に合わせて進化したのが「中園本店」。

 

コンビニのように、便利だけど、サービスも売っているものも、全国どこでも均一で、コンビニから発するものがない、という方向へ進化せず、

パンという売りになる商品があって、ワインやビデオ等のこだわりの商品も前に出しつつも、遊び心をくすぐる空間を作っていて、お店にまた来たくなったり、人が集まりたくなる方向に進化していました。

その姿勢が、椎葉村民の心をつかんでいるのではないでしょうか。

 

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★最後に残る店は、本当にコンビニなのか?

商店街が衰退する80年代までは、日本では様々な専門店*3が地方でも成立していました。

それが大型スーパーやホームセンターやドラッグストアにまとめられ、一つの店でたくさんの種類のものが買えるようになっていきました。

こうして便利になった反面、専門店の多彩さは失われ、店の種類はどんどん減っていきました。

その一方で、売れ筋の商品が手軽に手に入る、コンビニのような便利な店が拡大し続け、昔ながらの店にとって変わってきています。

日本で主流になってしまった大型スーパーですら、コンビニに苦戦しているともいいます。*4

 

このまま日本で店がなくなっていくのが、行き着くところまで行ってしまったら、コンビニと何でも出てくるファミレスくらいしかなくなるのではないでしょうか?

 

 しかし、どんな店にも「欠点」や「足りなさ」はあります。

 

コンビニはきわめて効率的な運営をするので、コンビニが物足りない人の心をつかむことはできないし、便利かもしれないけれど、地元に密着したものを提供できないし、人が出会ったり会話したりできる場所ではないですし、コンビニの運営方針の中でしか遊び心を満たせません。*5

同じように、チェーン店やホームセンターやショッピングセンター、そしてネット通販にも、「足りなさ」はあると思います。

 

それは、商品が手に入ることよりも、人間としての満足。

何か良い出来事があったりとか、人と人が知り合ったりとか、新しいものに出会えたりとか、苦しいときにそばにいたりとか、制約を越えて遊べるとか、

そうしたものを満たせる店が残っていくのではないかと僕は思います。

 

(そうなると、既に店ですら、商売ですらなくなっているかもしれないけれど、商売や店や遊びや人間関係の枠組みを取っ払った営みに、将来は変わっていくのかもしれません。)

*1:椎葉村に、徳島県の祖谷、岐阜県白川郷を足したものが、日本三大秘境。

*2:しかも、1本1本に丁寧に説明文まで書かれている。

*3:例えば茶屋、金物屋、魚屋など

*4:だから、イトーヨーカドーセブンイレブンが合併したり、イオンがミニストップを出店したり、大型スーパーがコンビニを使ってシェアを拡大する方法は合理的といえる。

*5:以前、大阪・京橋にあるローソンで、アニメ『けいおん!』のキャンペーンをやっていたとき、店内にフィギュアやぬいぐるみなどの飾りつけを大胆に行っていたが、「本部が指定する商材以外は置いてはいけない」という理由で、すぐに片付けさせられた例がある。