流れて消えるだけじゃ、語り合えないから

この人いいな、という人は、前向きでも後向きでもなく、ただ中間の状態でその場を動いているだけ。

人に期待していることから、自分を知る

多分、何も期待せずに生きている人は、仙人くらいしかいないのではないでしょうか。

それくらい、人は誰かに何かを期待して、生きています。

将来への希望、後輩への活躍、発売する予定の商品、ドラマの次回予告…。

また、人間関係は期待をベースにしてつながっている面が多いんじゃないでしょうか。

あらゆる期待をベースにして動いているように思います。

しかし、期待が裏切られたときに、人は多少なりとも傷ついたりします。

老後の介護をしてもらおうと子を育ててきたのに、してもらえなかった。

自分に役に立つように、部下を育ててやったのに、全然活躍しなかった。

1万円も払って予約したおせちの中身が紹介とあまりにも違うスカスカなものだった、

のようなときに、怒りを抱き、時には「もう二度と○○しない!」と、憎悪を抱くこともあります。

しかし、人は期待を抱かずにはいられないように出来ているのではないでしょうか。

そんな自分が人や物や社会に抱く「期待」から、自分の願望や不満を分析する方法をお届けしたいと思います。

人とぶつかったときに、期待が浮き彫りになりやすい

期待に関するエピソードを思い出したので、それを紹介します。

7年程前、僕は専門学校に通っていたことがあったのですが、僕と数人を除いて、高校から上がってきた人たちがクラスの大多数を占めていて、居心地が良くなく、話せる人も少なかった時期でした。

その頃、一番仲が良かったのが、元々美大を出て、専門学校に通った僕より少し若い男の人で、

その人とは、美術のことや音楽のこと、学校しんどい話等をしてきて、なじめない同士、仲良くやっていたことがありました。

専門学校に通って、彼は3か月でやめてしまいました。

彼は絵を描いていたので、絵で食べていくために、絵に専念する為でした。

ある日、彼から地元で展覧会をやるので来てほしいというメールが届きました。

久々に彼と話したいと思い、展覧会がてら、彼と話をする時間を持ち、懐かしく語り合っていました。

しかし、この後なのです。

彼はたまにメールを送ってくるのですが、そのメールが、「展覧会をやるから来てほしい」という、催促メールばかりだったのです。

彼に「久しぶり!何やってるの?」と、コミュニケーションを取ろうと試みる返信をしてみるのですが、

彼からは、それに返答はしないで、もっぱら展覧会の内容のことばかりを続けたり、

向こうは展覧会のお知らせを送りっ放しで何も返してこないのです。

内容も、「ダイレクトメール」のような、事務的なものばかりでした。

彼がだんだんそっけなくなっていったとき、僕は気づきました。

「僕は、彼に個人ではなく、ただの”客”として見られているのではないか?

せっかく積み上げてきた関係なのに、それが崩されて、ただの客や、金をおとしていく人になってしまったことに、僕は「裏切られた」気がしたのでした。

お互いが尊重された、対等なコミュニケーションができる間柄であってほしかった(期待していた)のに、彼がそれで終わらせようとしてきたのが辛くなったことがありました。

こんな風に、人と関わって裏切りにも似た感情を味わったときに、自分の期待が浮き彫りになりやすいのかもしれません。

(1)自分が人に期待することを洗い出してみよう

そんなときこそ、自己分析のチャンスです。

自分が人に何を期待しているのか、洗い出してみましょう。

先ほどの「人を客としか見ない人」を例題にして、やってみたいと思います。

【例題1】 「人を客としか見ない人」への期待

 ・自分と対等の関係であって欲しい。偉そうにならないで欲しい。

  (自分ばっかりうまく表現できて、その成果で人脈を広げて、羨ましい、という嫉妬)

 ・自分を置いてきぼりにしないで、そばにいて。

  自分のことをわかって欲しい、仲良く扱って欲しい。内面を語り合いたい。

 ・変わらない間柄でいて欲しい。

 ・僕のことを見て接して欲しい。

 ※同じ表現活動をしている人の中にも「自分も彼と同じところがある」と思えた人には、嫉妬はそんなに抱かない。

という感じで、自分は相手に何を望んでいるのか、何を求めているのかを書き出していきます。

(2)期待は、自分の不満を表している

期待の背景は、自分の不満であることがよくあります。

自分は何に満たされていないか、それを【例題1】で洗い出した期待から探ってみましょう。

【例題2】不満を洗い出そう

 ・自分ばかり人間関係がうまくいかず、広がらない、伸びない、成長しない。

 ・人間関係を広げるためには、自分をうまく表現でき、印象づけられることが必要。

  そのためのわかりやすいアイコンが持てない。表現がうまくいっていない。

 ・自分をもっとチヤホヤしてくれる人が少ない。

 ・自分の考え・問題意識に共感できる人が少ない。

 ・人間性・内面についてを出せない世の中にいる。外面ばかり良いのを求められる。

  (人間臭さ・汚さを外で見せている人が少ない。小ぎれいに振舞う人にズルさしか感じない。)

 ・人間関係が続かない。(例えとても合う人であっても) 自分のせいではなく、相手が変わって離れていく。

  人間関係の続け方がわからない。

なるほど。自分が人や世の中に対して満たされないところが、浮かび上がってきましたね。

不満がわかったところで、何になるの?という人もいると思います。

しかし、不満を知ることで、それを満たすために何をすればいいかが、見えてくるのではないでしょうか?

不満を満たすために、人の行動に乗っかったり、物を使ったりするという、間違った「期待」をしてしまい、

それが裏切られて不信感がつのってしまいます。

しかし、何が不満かを正しく知ることで、それに対する正しい対処法を組み立てることができ、

不満を満たすために、人の行動の乗っかったりする割合が減ったりして、裏切られても大丈夫になるのではないでしょうか。

「期待をするべきもの」「しなくていいもの」に整理することができ、生きやすくなるでしょう。)

人は期待を抱かずにはいられないように出来ていると思います。

「期待するからしんどくなるんだ。なら初めから期待しないぞ…。」と、グッと心に誓っても、

どこか我慢しているように、しんどく感じるということはあると思います。

期待を抱く感情は、否定しないで、温かく見守ってあげて欲しいと思います。

その上で、何に振り回され、何に振り回されやすいかを知っていくことで、

振り回されにくい自分ができていくのではないでしょうか。