流れて消えるだけじゃ、語り合えないから

この人いいな、という人は、前向きでも後向きでもなく、ただ中間の状態でその場を動いているだけ。

自分を大きく見せようとする人になっていませんか?

とある悩みを語り合う会合に出席したときの話です。

会議室で、一人ひとりの悩みに、みんなで解決策を答えていこうという形式でした。

その参加者の1人が、

A「職場で上司や同僚と上手くいかなくて、困ってる。」

という悩みを出したところ。

B「そんなの、上司に気に入られるように頑張ったらいいんですよ。簡単ですよ!簡単!」

C「僕は、上司や同僚のやることに、とにかく合わせたり、彼らの好きなものの話をするようにしたら、上司に気に入られて、やりやすくなりましたよ。君も僕みたいに努力すれば、同じようにやれますよ。」

D「人事担当をやっている私からしてみれば…(以下、専門的な知識の話)…」

Aさんは「…そうですか、やってみます。ありがとうございました。」と、

表情は困惑気味のまま、言葉少なに引き下がり、次回以降は、この会合に出席することはありませんでした。

たしかに会合の趣旨としては、「抱えている問題を話し合って、建設的な解決の方向へ向かおう」というものですが、

Aさんの状況を聞こうともせず、また、Aさんが状況を開示しても、Aさんの立場になって提案したり、共感したりすることがなく、

「オレはこんなのが出来るんだぜ、どやっ!」という、能力自慢のような、アドバイス大会のように、僕の目には映りました。

(「どんなアドバイスでもボコスカ受け入れてやっていくぜ、押忍!」というタイプの人には合っていたでしょうけれど。)

その中の参加者Bさんが、会合が終わった後の懇親会に参加しました。

B「後輩があまりに生意気だったから、論破してやったら黙ったんですよ。生意気なヤツは抑えつけるのが大事っすね。」

 「彼女が欲しいんすか?オレが彼女が出来たときは、合コンでリーダー役の主導権を取ったら、上手くいったんすよ。」

 「人がどう言おうと関係ない、オレがいいって思うなら、それで幸せだって思いますよ。」

という、オラオラ発言をことごとく言います。

だけれど、何人かは気づいています。

「自分を大きく見せようとしているな。」と。

この回では、自分が「大きく見せようとする人間」になっていませんか?ということを問うものです。

★不安があるから、自分を大きく見せる

その裏には、弱点や不安やコンプレックスを隠していることが、多くあるのです。

自分を大きく見せる人は、見た目と裏腹に、

「自分は本当は友達がいない!」「自分は臆病者で、本当は怖い。」というコンプレックスを持っていますし、

事実、友達がいなかったり、怖がりだったりします。

本人は、その事実を受け入れていないです。

コンプレックスや不安から自分を守るために、それらから目を背け、

また、無能ではないと言い聞かせる根拠を持ってきます。

それだけではありません。

親や同級生や職場の同僚など、自分以外の人間に潰されるという不安を持っているため、

「舐められないようにする」ために武装するのです。

意識高い人のように、できる人間のようなキャラを作ったり、

専門的な知識を身につけ、専門家らしく発言したり、

自信に満ちた頼れる男のように、できるキャリアウーマンのように振舞う。

そういう立場にいれば、攻撃されません。

これが、自分を大きく見せる人の構造です。

その中身は、劣等感や不安によって満たされているのです。

存在しないはずの、自分を挫こうとする者から、自分を守るための行動なのです。

★あなたも「自分を大きく見せる人」になっていませんか?

さて、自分の気持ちを振り返って、「自分を大きく見せる人」のようになっていないでしょうか?

何も、実際にオラオラ発言をしたとかではなく、

自分を大きく見せる人の、心理的特徴に、自分も近いところがあるのでは?と、思ったところはないでしょうか。

別に、自分を大きく見せることが悪いというわけではありません。(ただ、損なだけです)

しかし、他人の行動を鏡として、「自分も多少そんなところがあるぞ」と振り返ることで、自分の不安や弱点やコンプレックスを洗い出すことができるのではないでしょうか。

自分を守るため、気づかず行っている行動・言動から、

自分の弱点に気づくことも、自己分析の一つなのです。